なぜ、空き家は増えるのか

公開日:2025年04月01日

なぜ、空き家は増えるのか 原因と解決

空き家の増加は、日本だけでなく多くの先進国で共通の社会問題となっています。この現象にはさまざまな要因が絡んでおり、地域社会や経済に深刻な影響を及ぼしていると言えるでしょう。

このコラムでは、空き家が増える主な要因と空き家問題の解決に向けての問題点について考察していきます。

要因① 少子高齢化と人口減少

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日本では、少子高齢化が進行し、人口が減少していることが空き家増加の大きな要因です。若い世代が減少する一方で、高齢者が亡くなった後、その住まいが空き家となるケースが増えています。特に地方では、人口流出が激しく、若者が都市部へ移住するため、地方の空き家が増加しています。

要因② 都市部への集中と過疎化

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都市部への人口集中が続く中で、地方や過疎地では住む人が減り、空き家が増えています。都市への移住は、教育や仕事の機会、生活の利便性を求めるためですが、その結果、地方では住む人がいなくなり、家屋が放置されることが多くなっています。由々しき事態が発生している現状です。

要因③ 住宅供給過剰

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バブル経済期やその後の開発ブームにより、住宅が大量に供給されました。しかし、人口減少や世帯数の減少により、需要と供給のバランスが崩れ、多くの住宅が未使用のまま残されています。これにより、新築物件が供給され続ける一方で、古い住宅が空き家として取り残されています。

要因④ 相続問題と税制の課題

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相続による所有権の移転が滞り、空き家が発生することも多いです。相続人が遠方に住んでいる場合や、複数の相続人がいる場合、所有権の整理が難航し、空き家が放置されるケースがあります。また、固定資産税の問題もあり、税負担を避けるために空き家を手放さず、そのまま放置することも少なくありません。

要因⑤ 老朽化と修繕費の負担

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古い住宅は修繕や改築が必要ですが、その費用が高額になるため、所有者が修繕を躊躇し、空き家のままにしてしまうことがあります。特に築年数が長い住宅では、修繕費用が住宅の価値を超えることもあり、結果的に放置されることになっています。

問題解決に向けての3つ問題点

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空き家問題の解決に向けての問題点として、以下の3つが挙げられます。

 

その1. 法的手続きや規制の複雑さ
空き家の所有者が不明な場合や、複数の相続人がいる場合、所有権の確定や売却手続きが非常に複雑になります。また、地方自治体が空き家を強制的に解体する場合にも、法的な手続きや規制が障害となることがあります。

 

その2. 再利用や再活用のための資金不足
空き家をリノベーションして再利用するためには多額の資金が必要ですが、所有者や地方自治体にはその資金が不足していることが多いです。また、再利用した空き家が経済的に採算が合うかどうかも不透明です。

 

その3. 地域コミュニティの協力不足
空き家問題は地域全体の問題であり、地域コミュニティの協力が必要ですが、住民間での意識の違いや利害の衝突が原因で、協力が得られないことがありえます。これにより、問題解決が進まないでしょう。

 

結論

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空き家が増加する背景には、人口動態の変化、都市化、住宅政策、相続問題、老朽化といった複数の要因が絡み合っています。これらの問題に対処するためには、地域ごとの実情に応じた政策の見直しや、地域コミュニティと行政の協力が不可欠です。また、空き家の有効活用を促進するための制度改革も求められています。

空き家問題は地域の衰退を招くリスクをはらむ一方で、うまく活用すれば新たな資源となる可能性も秘めています。問題を「負の遺産」(≒負動産)として捉えのではなく、地域の未来を形作る資産として再評価し、長期的な視点で持続可能な解決策を模索することが重要なのです。